あとがき


 読んでくださってありがとうございます。
 休止から復帰後、初めての完結です。自分ではあまり変わったとは思ってませんが、どんなものでしょうか。

 今回は依毘士の鎖真のいちゃいちゃ…ではなく、二人の関係を掘り下げてみました。
 女体化&ホモといえばホモ、変なレズっこも出てくるしで、騒がしい話になりました。楽しかったです。

・依毘士
 男らしくも女らしくもない、不思議な生き物だなと思ってます。どっちかというと、女が男の体を持ってるというのが近いような。
 感情がないといっても、よく怒ったりはしてます。普段の彼は自分の役目最優先なので、鎖真がやらかしたり自分の行動に口出しされると怒ります。言わないだけでいろいろ考えてるようですし。元々は感情も表情も豊かな人で、それを制御されてるだけなので、それほど鉄仮面の蝋人形ってわけではありません。
 ちなみに痛みも感情も、正確にはまったくないわけではありません。自分で怪我をしたとか人を傷つけたとかは分かってます。常識やモラルもあるにはあるのですが、あくまで「知識」。だからどうすべきかというのは考えて行動しますが、本能や感情では判断せず、模範的な対応しかできません。
 この人は説明するのはすごく難しいです。
 毘盧遮那仏は大日如来のこと。日本では天照大神と同一視されることも。
 大日如来=宇宙の真理みたいな話もあるのですが、トートタロットでのアイオーン(宇宙)が両性具有なので、男女の区別なし的なイメージはその辺繋がりです(繋がってない?)。
 この人は自分の女体化した姿が美しいと自覚してます。男のときに自分をかっこいいとかは思ってないんですけど。
 なので鎖真に裸を見せたのは自慢だったのか、彼なりのサービスだったのか分かりませんが、とりあえず性格は悪いです。
 でも案外、変人(鎖真)や人外(天竜とか土竜)からはなぜか好かれます。

・鎖真
 いいところがありませんでした。
 せめて珠烙や土竜と戦闘するくらいの見せ場があればよかったのですが、それでは完全に依毘士の立場が「鎖真に守られる女」になってしまうので、なんか違う。ということで暴走と失恋しただけという可哀想な人になってしまいました。
 でも単純に「強い男」ってだけで価値もあるし、魅力的だと思うんです。
 この様子だと、まだまだ幸せにはなれそうにないですけど。
 ところでこの二人はいつか結ばれるのか?という疑問。樹燐が言ってたように、男同士でいい相棒としてずっと一緒にいるのか。それとも珠烙の言ってたように、夫婦になって依毘士の怨恨を断ち切る努力をしたほうがいいのか。
 もし依毘士が純潔を奪われて女になってしまった場合、相当重症なメンヘラになります。ただ目の前で妻を惨殺されただけではなく、魂が欠損しているので、普通の人のように時間が解決というわけにはいかず、そうそう立ち直ることができない…というか一生そのままかもしれない。だから死んだほうがマシって話なんですけど、鎖真が惚れこんでいるので、それが救い? でも鎖真が死ぬほどの苦労を強いられるわけで、それが幸せかどうかは本人次第という絶望。一応、絶世の美女を自分のものにできるし、子供も作れます。依毘士も鎖真を頼って甘えてラブラブになると思う。ただし、依毘士が処分されるという救いようのない悲恋の可能性もあるわけで…。もしそうなったら、鎖真が怨念と復讐の鬼に。鎖真に架せられる覚悟ってのは、そのくらい壮絶で重大。
 普通に考えて、今のままのほうがマシな気がします。それを超える愛情がお互いにあれば、限界まで頑張るしかない、そんな二人。

・珠烙
 割とお気に入りキャラです。
 珠烙の場合、顔が変わるときは首ごとなので、女装時は声も女です。
 阿修羅は日本で人気の神様。憂いの表情を浮かべる戦う美少年というイメージは、興福寺にある阿修羅像の影響。一時期ブームになりました。おそらくほとんどの日本人が阿修羅といえばあの姿を思い浮かべると思います。
 阿修羅は言葉自体が闘争のイメージになってますし、神話でもお上に逆らうルシファーとかロキ的な存在。
 何かと帝釈天ともめごとを起こしてます。そのせいで堕天使みたいになってるんですが。
 でも本来は正義の神様です。帝釈天は力の神様。
 帝釈天は最強の武神なのですが、いかんせん下半身が緩く、阿修羅の娘を無理やり手籠めにしてしまいました。で、怒った阿修羅が戦いに挑んだって話。怒って当然なんだけど、戦いには負けるし、娘と帝釈天はいつの間にか仲良くなってるし、という理不尽な関係(この話での帝釈天の眷属は鎖真のほうですけど。)
 うちの神様たちは神様らしからぬ人が多いです。顔も怖い。でも怖い(憤怒)の表情の神様って仏教でもよくいます。あれは悪鬼とかを威嚇するため、寄せ付けないため、恐ろしい姿をしているらしいです。なので間違いではありません。性格の悪さは別ですけど。
 といっても、まさに仏様ってほど優しい人もちゃんといます。出番がなくて目立たないだけです。

・十三人の少女
 ミーハーな女子中高生のイメージ。正体はアレですが。
 目は退化してますが、なんかどうも見えてるような気がします。
 名前は暦(睦月、如月、弥生、卯月、皐月、水無月、文月、 葉月、長月、神無月、霜月、 師走)。
 十三人目の名前は不明。数えると十三人だけど、名前を呼んで点呼したらちゃんと数は合うというよくあるホラーな集団です。
 最後の十三人目は土竜ではなく術師です。地獄の住民。人の形をした人外。めったに出てくることも人と絡むこともありませんが、依毘士(女)に憧れているのは前から。レズというか繊細で美しいものが好き。

・鬼土竜
 地獄の地中に棲む巨大土竜。
 ハナモグラがモデルです。キモいです。普通のもぐらは可愛い。

・籠目
 六芒星の形、模様のこと。
 陰陽師?神道?仏教?密教? とかいう疑問はなしで。

・天上界
 結構殺伐としてます。魔界と違うのは、一応法治国家のように秩序やモラルがあって、帝が統治している世界であること。
 下剋上も、結果によってはアリ。といっても珠烙は別に依毘士を引きずり降ろそうとしてたわけではなく、ただの悪戯です。それによって天竜が離れていって依毘士がどうなったとしても、なるようになるとしか考えてません。最悪の状況を引き起こしても、責任をとる必要があるならとる覚悟はもったうえでの悪戯です。
 依毘士も鎖真も天上界でトップクラス、珠烙も近いレベルの人なので、いちいち大事になってしまいます。

・樹燐
 今回は説明役なので、この話で一番まともでした。
 才戯の話題がないので、この話が本編の前なのか後なのか不明。
 美人のバーゲンセール状態ですが、樹燐と依毘士ではタイプが違います。
 依毘士は清楚なお嬢様風で、樹燐のほうが派手です。化粧や服装だけじゃなくて、彫が深くて骨も太くて全体的に豊満。
 本来なら子供をいくらでも産める人なのでムチムチです。相手に恵まれないだけで。


 今回はここまで。
 ありがとうございました。


20130727
hinoto


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