SHANTiROSE

INNOCENT SIN-34






 クライセンたちが迷い込んだ「もしも」の世界の時代より遡り、まだ「スカルディア」が確かな組織になる前のこと――。

 敗戦で王も国も失い、何も持たぬただの敗者となったアンミール人はパライアスの奥へ追いやられていった。
 戦争で権利を勝ち取り、魔法大国の更なる繁栄を約束されたランドール人は、力を増幅させたリヴィオラに従い、領地を拡大していった。
 本来人間の世界の大地は太古にリヴィオラが構築したものであり、目には見えない魔力の血脈が張り巡らされている。今までリヴィオラに近い東側がランドール人のノートンディル、その反対側がアンミール人のパライアスとして、それぞれの国王が話し合って国境を作っていた。しかしいつしかリヴィオラの恩恵を強く受け、天使を信仰し交流を持つランドール人と自分たちに不公平感を抱くようになっていった。意見や価値観の食い違いで衝突を繰り返し、互いに憎しむようになった二つの民族は、とうとう「国境の取り決め直し」を大義として開戦の火ぶたを切った。
 戦争はランドール人の勝利に終わった。
 開戦後、数年はアンミール人も健闘していたが、長期戦になると敗北することは最初から分かっていることだった。それでも、少しでも有利な条件を手にするため、多くの命が犠牲になった。
 当然ランドール人も同等の犠牲を払った。開戦して間もなく、天使は人間の残酷さ、醜さに心を痛めて地上から姿を消した。ランドール人は美しく尊い天使を悲しませたのはアンミール人のせいだと考え憎しみを募らせた。アンミール人は天使の加護を失ったランドール人になら勝機があるかもしれないと諦めなかった。
 人の数だけの様々な思いが生まれては消えていった。
 そこに「神」はいなかった。
 撃てば人は死んだ。どれだけ地位や名誉のある人間でも、名もない人間の一撃に簡単に命を奪われた。
 しかし、その先に必ず幸せがあると信じて人々は殺し合った。
 結果、人々の間に生まれた欲望と憎しみは定着し、それらを土台に新しい世界の再建が始まった。



 ランドール人はアンミール人の国を解体し武装解除を命じ、生き残りを大陸の奥に追いやった。
 国王を失ったアンミール人の、生き残った王族の数人が何度も何度もランドール人と交渉を繰り返した。
「今与えられている土地で国を再建させて欲しい。魔力も欲しがらないし、二度とランドール人に逆らうこともしない。我々はあるもので慎ましく生きていく。これ以上権利を奪わないでくれ」
 ランドール人はそれでよしとした。
「ただし、アンミール人は森の奥で、何も求めずに静かに暮らせ」
 アンミール人もそれでよしとした。
 ランドール人の指定した場所は、かつてパライアスのとある王のいた城跡だった。周囲は深い森に囲まれており、王がいた頃は城を守る壁の役目として利用されていた。しかしアンミール人が森に作った道や通路はすべて破壊され、埋め立てられた。
 森の深さは果てが見えないほど広大で、踏み込めば二度と出ることができないくらい鬱蒼としている。外に行き来できる道がなくなった今、決して「恵みの緑」ではなく、罪人を閉じ込める監獄の檻となり果てた。
 後に、森は二つの国の国境となり、「洛陽線」と呼ばれることになった。「ここより先、陽は昇らず」と誰かが言ったことから、そう名付けられた。
 ランドール人の出した条件は残酷なもので、ほとんどのアンミール人が納得できるものではなかった。仕方ないと諦めて文明人らしい人生活を諦める者もいたが、再び憎しみと怒りを抱く者も少なくなかった。森の奥に大人しく移住する者と、希望を抱いて逃亡する者に別れた。
 逃亡者は国のあちこちに散らばり、それぞれに抵抗するための手段を画策した。すぐに捕えられて森に放り込まれる者、処刑される者、自害する者も少なくなかったが、そのうちに力を持つ者と頭の切れる者が生き残り、それらを捕えるのは困難を喫するようになった。戦後数十年も経つと、森の奥のアンミール人は貧しいながらもそこに住居を築いていった。逃亡者たちがどれだけ生き残り、殺されていったかなど、知る由もなく。
 ランドール人は逃亡したアンミール人を徹底して排除しようとはしなかった。それを諭したのは、魔法大国の王、ザインだった。
「無理に制圧すれば反乱が収まらない。滅ぶならいっそと捨て身で反撃してくる可能性は大きい。我々も同じ人間。彼らの命懸けの攻撃を受ければただでは済まないのだ。これ以上犠牲を出したくない」
 反逆者を見つけたら交渉し、彼らの要望を聞くよう命令を下した。
 そうして世界のあちこちに爆弾を抱えたまま、更に数十年が過ぎた。
 反逆者は次第に人数を増やし、家族となり、少数の抵抗勢力となった。それらは集落を作ってランドール人のいない土地を占領した。それで気が済むならと、ザインは自然を装って見て見ぬふりをした。ある程度の衝突を甘受し、彼らには土地を勝ち取ったように思わせることにした。それで矜持が守られ満足して大人しくなる者がほとんどだったからだ。
 信頼できる者だけで集まり居住地を手に入れた反逆者たちは、いつか森の奥に閉じ込められている同胞を助けると言い続けながらも、争いを避けるようになっていた。
 たまに起こる衝突やいざこざは、平和な時代にもよくあること。そのたびに、戦うことも和解することもなく、互いに背を向けて距離を保った。
 これでいい。誰もがそう思った、はずだった。
 そう思わない者が、その世界にいたことを、誰もが忘れていた。
 それは他ならぬ、森の奥に追いやられたアンミール人だった。
 森の奥には、落城した巨大な城跡があった。
 すべてを破壊された惨めな土地だったが、諦めたはずのアンミール人はそこに小さな村から作り直そうと懸命に働いた。
 目立つことをすればランドール人にまた破壊されるかもしれない。監視するように上空を飛び回る巨大な鳥の目に怯えながら、彼らは文明を捨てて、一からやり直していた。毎日田畑を耕し、雨風をしのぎ休息を取れる小さな家を作り、少しずつ安定した生活の場を作って行った。城跡だけは取り壊さず、瓦礫を片付けて住めるように改築して残した。それはかつて、自分たちが魔法大国と戦うほどの力を持っていた人種だった証明として、失いたくなかったのだった。
 長い話し合いの末、小さな村を取りまとめるための村長が決まった。村長の名はモーリス。そのほかに、ある少年が村人の労働を指示する役割を担っていた。彼の名はジギル。魔法を使えず、戦前から孤独に過ごしており、戦争中も一人で身を潜めているだけの無名の男だった。
 戦う手段を持たないジギルは多数に紛れてこの森にやってきた。最初は昔と同じように一人で過ごしていた。いつ崩れ落ちるか分からない城跡に潜り込んでは、ボロボロの本を読み、紙とペンを見つけて一人で勉強をしていた。それに気づいた村人が彼を責めたが、ジギルのメモ紙を見て考えを変えていった。
 ジギルは、誰もが魔法にしか目を向けていない時代から、それ以外の技術を勉強していたのだった。
 天候の知識、海の生物の種類や人体の仕組み、火や水の扱い方等、様々な分野について学んでいた。とくに植物に関することには博識だった。ジギルは生まれつき賢くて好奇心旺盛で、誰に同意を求めることもなく、ただ一人で興味のあるものについて調べる癖があった。そんな彼は変人扱いされて誰も相手にしなかったのだが、ここに来て、ジギルの知識と賢さは村人の未来を明るく照らした。
 村人はジギルを先生と呼び、農業や天災との付き合い方等、自然の中で生きていく術を請うた。ジギルは断り方を知らず、訊かれたことには答えていった。彼が知らないことも、その場で考えて最善の方法を指示した。ジギルの教えは正しいことばかりで、魔法を奪われた自分たちにはこれしかないと、村人は「先生」を頼って毎日泥と汗に塗れて働いた。
 しかしジギルは居心地の悪さを抱いていた。彼は元々社交的ではないし、誰かの役に立ちたいなんて考えたこともなく、今の状況でもその考えは変わらなかった。飢えてもいいから、死ぬまで一人で勉強をしていたいのが本音だった。
 誰に慕われ、頼られ、心から感謝されても、ジギルは笑わなかった。次第に村人も不安になり、必要な知識がある程度いきわたった頃、次第に彼とは距離を置くようになった。きっと彼は孤独が好きなのだと察し、モーリスが気を使ってジギルに城跡の一室を与えた。そこには城跡からかき集められた本が揃っていた。ジギルは感謝することなくそこに引きこもった。用があるときはモーリスを通して話をすることがほとんどになった。
 そうして数十年、村も落ち着き、出産育児も安定し、人口は緩やかに増えていった。
 この環境の中でランドール人に対抗する力は二度ともてないだろう。ここで自然淘汰されるまで静かに生きていくのが我々の運命。村長も村人も、そう信じて疑わなかった――「彼女」が現れるまでは。
 その日は突然訪れた。
 空が騒然となった。巨大な鳥が騒いでいる。村人たちは手を止めて空を見上げた。
 集まってきた鳥たちのうち、一羽が悲鳴を上げて村に墜落してきた。
 鳥は畑に落ち、農作物を台無しにした。村人が急いで集まってきたときは、血塗れで既に息絶えていた。皆が震えあがっている中、鳥の遺体の下から一人の女性が這い出てきた。
 彼女は全身真っ黒な出で立ちで、つばの広いとんがり帽子を被っていた。手には黒い鋼でできた剣を持ち、切っ先には血がこびりついている。長く黒い前髪と帽子のつばの隙間から覗く瞳はらんらんと輝き悪意を放っていた。醸し出す妙な貫録と、張りのある若さとが相まって猛々しいほどの生命力をまとっている。彼女の名はエミー。エミーは体についた汚れを払いながら立ち上がり、大きな口を耳の近くまで持ち上げて笑っていた。
「あ、あなたは?」
 モーリスが恐る恐る尋ねると、エミーは物怖じせずに答える。
「魔法使いだ」
 一同はさっと足を引いて距離を置いた。今の時代、魔法使いと言えばランドール人だからだ。
「一体何事でしょうか」モーリスの声は震えていた。「その鳥はあなたたちの従者。何か事故でも起きたのでしょうか」
「従者?」エミーは鳥の遺体を一瞥し。「私にとっちゃただの食糧だ。腹が減ったから狩っただけさ」
 村人には理解できなかった。この鳥が食用だとしても、プライドの高いランドール人にしてはあまりに野蛮。
 自然と人々の心に不安の気配が押し寄せ、青ざめた。
「失礼ですが……狩りが終わったのなら出ていってもらえませんか。その鳥を運ぶのを手伝うにも、私たちはあの森を出ることはできません。出たいとも思っていませんし、どうか、お引き取り願います」
「冷たいねえ。少しならあんたたちにもわけてやろうと思ったのに」
「結構です。私たちはあなたが荒らした畑を修復する作業がありますので。お引き取り願います」
 エミーは呆れたように大きなため息をつく。
「すっかり卑屈になって。みっともないね。同じアンミール人としてこっちが恥ずかしくなるよ」
 その言葉に周囲がざわついた。モーリスも耳を疑う。
「……アンミール人ですって? あなたが?」
「何だいその顔は。まさかこの私をランドール人と勘違いしてたのか?」
 仲間と分かったのならきっと歓迎してくれる。エミーはそう思った。しかしモーリスは目を見開き、激しく動揺し始めた。
「何ということを……! では、ランドール人にとって神聖なる生き物を、アンミール人の手で殺したということか!」
 エミーはモーリスの剣幕に驚きながらも態度を変えなかった。
「だったらどうした? 畜生なんて人間の食い物だろう。あんなにでかいのが数え切れないほどいるんだ。一羽くらい構わんだろ」
「冗談じゃない!」
 モーリスと同じく、エミーを囲む村人も大きな声を上げた。
「出ていけ!」
「その死体を森の外に持っていってランドール人に許しを請うんだ」
「この村は関係ないと証言しろ」
 激しく責め立てられるエミーは、もう一つため息をついた。
「変なところに落ちたようだね……気が向いて散歩に出たら、人も地形もすっかり変わってて驚いたよ。戦争があったのは知ってるが……あんたたちはどうしてこんなところで貧乏暮らししてるんだい」
「散歩だって?」モーリスは声を震わせ。「あんたはこの世界を見て回ったのか?」
「ああ。全部じゃないけどね」
「では……外に逃げた私たちの同胞、アンミール人たちはどうしているか、知っているのか」
「あちこちで生きてるよ。まるで野生の獣の群れだね。ここも同じようなものかと思ったが、まさか『ランドール人に謝れなんて』、心底呆れ果てるほどの惨めな言葉を吐かれるとは思ってなかった」
「……私たちの同胞は、私たちのことを、何か言っていなかっただろうか」
「知らないね。言っただろう。まるで獣の群れだったと。私みたいな身元の分からない女はどこへ行ってもお払い箱さ」
 エミーの言葉は信じられないことばかりだった。村人は黙り、モーリスも目を丸くしてエミーを見つめた。
「……あなたは、今まで一体どこにいたのだ」
「森だよ。戦前からずっとそこにいた」
「森?」
「ここじゃないよ。北の果ての森だ」
「戦前から? そのときから一歩も出なかったとでも言うのか」
「言っちゃ悪いか?」
 村人は絶句した。
 何にしてもすぐに出ていって欲しいことには変わりない。巨大な死骸を上空から他の鳥が見つけたらランドール人がすぐに駆けつけてくるだろう。いくらこの女性のことを知らないと言っても、同じアンミール人だからと罪を着せられる可能性は大きい。
 話があるならまた今度にしてくれと、モーリスが口を開きかけたとき、恐れていたことが起きた。上空の、いつもより低い位置を、二羽の鳥が旋回した。モーリスは慌てて首を横に振るが、鳥にその意味は理解できない。死骸を確認したのか、すぐに遠くへ姿を消した。
 まずい。震え上がるモーリスを、村人が囲んだ。しかしこんなことは初めてで、まったく対策が思いつかない。すぐに「先生に相談しよう」という声が広がった。いくら賢いとは言っても彼に交渉術があるとは思えない。見当違いなのは承知で、モーリスはエミーに着いてくるように言いつけた。
 退屈し始めていたエミーは素知らぬ顔で剣を腰の鞘に納め、モーリスの後に着いていった。村人は固唾を飲んで彼らを見守った。



 城跡の奥の、ジギルの勉強部屋をノックした。返事はなかったが、いつものこと。今は緊事態なのだと、モーリスはドアを開けた。ジギルは相変わらず本や書物に囲まれ、部屋の真ん中にある机にかぶり付いていた。突然開いたドアに驚き、顔を上げる。
「なんだよ急に。勉強の邪魔はしないと約束しただろう!」
 貧弱で不健康そうなジギルは必死で細い声を張り上げた。
 エミーは、すぐには彼に興味を持たなかった。
「ジギル、大変なことが起きた」モーリスが神妙な顔で。「アンミール人であるこの女が、ランドール人の使いである鳥を殺してしまったんだ。そのことは、すぐにランドール人に知れ渡るだろう。どうすべきか、教えてもらえないか」
 ジギルは不満そうに眉間に皺を寄せて、今までに見たことのない姿をしたエミーを見つめた。
「あんたは、どこから……?」
「森だって、さっき言った」
「どこの森?」
「黒い森。北の果てにある、真っ黒い森さ」
「……あそこは、人どころか動物も虫もいないはず」
「いないはずと言われても、いたんだよ」
 ジギルはクマのある陰気な瞳で、エミーをじっと見つめ続けた。その異様な目つきに、エミーは頬を緩める。
「面白いね。あんたみたいな不気味なヤツ、初めて見たよ」
「……それは、俺の台詞だ」
 エミーはゲラゲラと笑い出した。モーリスは早く話を進めて欲しく、ドアの傍で二人を見守っている。
 エミーは腰を折り、足元に落ちている紙を数枚拾った。それを興味深そうに読む姿に、モーリスは首を傾げていた。ジギルが賢いのは重々承知しているが、彼の勉強や研究内容は理解できないものばかりだったからだ。エミーには分かるのか、次第に歯を見せて笑顔を浮かべる。
「あんた、こんなもの調べて何しようって気?」
「……何も」
「何も? 何の目的もないのに、こんなに熱心に勉強してんのか?」
「そうだよ」
「あんたは、何のために生きてるんだい」
「知るもんか。俺は好奇心と探究心が満たされていれば幸せなんだ。この世が地獄だろうが戦争中だろうが、どうだっていい」
 エミーは嬉しそうに目を細め、ジギルに近寄り、机にしがみついたままの彼の顎を人差し指で持ち上げた。
「じゃあ、いつ死んでもいい?」
「ああ。いつでもいい」エミーの手を払いのけ。「死んだら勉強したいという欲もなくなる。別に後悔することはないからな。今すぐだって構わない」
 モーリスは二人の異様な会話に恐怖を感じた。
 こんなこと、今まで一度もなかった。どうしたらいいか分からない。
「いいね。まだまだ世の中捨てたもんじゃない。面白いことが尽きない、素晴らしい世界だね」
 ジギルはあからさまに不愉快な表情を浮かべた。
「そうは思わない」
「どうして? あんたは面白いことがあるから勉強してるんだろ?」
「一人で没頭してるときは楽しいさ。でも必ず邪魔が入るんだ。分かりもしないのに何をしているのかと訊いてきたり、勝手に戦争を始めて大事な資料や文化を壊したり……他人の聖域に土足で上がりこみ、初対面なのに馴れ馴れしく絡んでくるおかしな魔法使いがいたりな」
 最後の部分は明らかにエミーのことだった。エミーが気づかないわけがなかったが、意に介すことなく話を続ける。
「だったら邪魔をされない方法を勉強したらどうだい」
 エミーの悪意のある笑顔の奥に、ジギルは僅かな可能性を感じ取った。不信感を募らせつつ、彼女に目を合わせた。
「……例えば?」
 興味を示したジギルに、エミーは確かな手ごたえをつかむ。エミーの見開いた瞳に、ジギルは目を離せなくなる。
「人間の作った文明を壊すのも、新たに作るのも人間にしかできないこと」
「だから?」
「戦争でできたこのつまらない時代を壊して、あんたの好きな世界を新しく作ればいいじゃないか」
 ジギルはまだエミーの話についていけない。だが、彼女が何を言っているのかも、その言葉があまりにバカげていることもすぐに理解できていた。
「あんたも人間だ。世界を変える権利がある」
 ジギルには意味が分かった。しかし、あまりに途方もないことだ。この女は頭がおかしい。まともに話を聞いてはいけない。
 エミーを拒絶する理由を、ジギルは無理に考えようとしていた。





   

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