SHANTiROSE

HOLY MAZE-40






 信じられない。
 シオンは二人の舞台の「演技」も、それに見入っていた自分自身の気持ちも信じられなかった。
 愛し合っているはずの人が、他の女性と情熱的なダンスに興じていた。
 自分も表現者だから分かる。あれは型だけの舞ではない。振りが完璧だからじゃない。ラストルは愛に溺れる愚かな男になりきっていた。彼がそこまで役に入り込めたのは、相手にそれだけの魅力があったから――。
 本人はそう思っていないかもしれないが、相手を引き立て、世界に誘い込むのは実力のある役者にしかできない、内なる能力だった。
 だが二人は役者ではなく、訓練も受けていない。だとしたら、「シェリア」という少女がラストルに匹敵するほどの高貴な血筋の者だということ。
(私は、彼の恋人になれたとして……あの人のように彼を輝かせることができるの?)
 自分も、どこに出しても恥ずかしくない教育を受け、磨いてきた容姿にも腕にも自信があった。一つ頭抜きん出ているからこそ、ラストルに愛される資格があると思っていた。
 しかしあの少女の小さな体から溢れ出る絶対的な、生まれついての魅力と自信を、役者としての目で感じ取るほど、シオンは傍観者でしかない自分が小さな存在にしか思えず、絶望に似た激痛に心が壊れそうだった。


 庭に出たラストルは噴水の傍で立ち尽くした。背を向けて項垂れる彼には、興味はあれど気軽に声をかけていい雰囲気はなかった。
 後を追ってきたティシラは途中で、グラスの並んだトレイを持ったボーイに声をかける。
「赤ワインと、白のシャンパンを」
 そう言って、トレイの上に並んでいたグラスを二つ取り、再度彼の元に向かった。
「王子様、お見事でしたわ」
 わざとらしく甘い声を出すと、ラストルはいつもの憎たらしい顔でティシラを一瞥した。
「やればできるじゃない。でも、まだまだね」
 ティシラはシャンパンを差し出し、肩を竦める。
「どうせ練習ばっかりして実践はまだだったんでしょ」
 ラストルは彼女を睨みながら、グラスを受け取り、口に運んだ。
「あんなもの、何の役に立つというのだ」
「やっぱりね」ティシラもワインに口を付け。「振りは完璧、曲の知識も幅広くて、ちょっとだけ感心したわ。でもね、ダンスってのは愛なの。もっと欲深く、貪るように相手を求める情熱がないと美しいとは言えないのよね」
「ふん……何が愛だ。下種な小娘の分際で」
 取りつく島もないラストルに、ティシラはむっとして笑みを消す。
 二人が気になり、遠巻きに見守る者もいたが、まさかいがみ合っているだなんて、誰も想像していなかった。
 ティシラは声が届く範囲に人がいないことを確認し、浮かれた態度を改めた。
「話があるんだけど」
「こんなところで、何を……」
「魔女の件から手を引いて」
 見つめ合っているかのような二人の間に、見えない火花が散った。
「敵の手段が分かったの。やっぱりあんたは罠にかけられようとしてる」
「どういうことだ」
「あんたが見たのは無罪の人間よ。他に、人外の姿をした魔族も捕まっているの。あんたにその人間を裁いて処刑させたあと、本物の魔族を出してそれが魔女だと言ってあんたを罪人に仕立てようとしているのよ」
 ラストルは眉をひそめてティシラを疑った。だがそれは彼女の話に興味を示したということ。
「その本物の魔族というのを、どうしてお前が知っている?」
「私の仲間だからよ……お願い、聞いて。あんたが敵の言いなりになってしまったら、たくさんの犠牲が出る。そして悪い奴が正義になって、天下を取ることになる。あんたの望む世界ってそういうのじゃないんでしょう?」
「私の望む世界は、貴様になど分かりはしない」
「私のことはどうとでも言えばいいわ。でも今は何もしないで。あんたが見たのは無罪の人間。魔女だなんて証拠はどこにもないはずよ。それで終わりにして」
 ティシラの切な言葉は嘘には聞こえなかった。ラストルにも僅かな心の変化が生じる。
「その捕まっている魔族というのが、本物の魔女だというのか?」
 ラストルが自分の言葉を聞いていることを感じ、ティシラは憎しみを忘れて一歩近づいた。
「いいえ。それも違うわ。魔女は無闇に人を殺したりしないし、感染するものでもない。人間の間に広がっているのはただの不安や恐怖に過ぎないのよ。それに魔女なんて名前をつけて煽ってるのがアジェルなの。カーグはそんな人間の弱さを利用しようとしているってこと。村人も魔族も何もしていないの。信じてよ」
「確かに、村人が魔女である証拠はないが、お前の言葉にもなんの証拠もない。どちらを信じるかは私が決めることだ」
「そんなこといってる時間はないでしょう」ティシラは気持ちの高揚を抑え。「あいつらはあんたが村人を処刑しない限り魔族を表に出す気はないのよ。どうやって証明しろって言うの」
「証拠もないのにどうやってお前を信じろと言うのか」
 ティシラはぐっと言葉を詰まらせる。その様子にラストルは気分がよくなり、もう一口、シャンパンで喉を潤した。
「そもそもお前はなぜそんなに必死になっている? お前は何を守りたいのだ」
「私は……捕まって苦しんでいる仲間を助けたいの」
「仲間?」
「それと、魔女としてのプライドを守りたいのよ」
 ラストルは意味が分からず、冷ややかな目でティシラを見つめた。
「魔女が人間の犯罪に利用されるなんて許せないの」
「何を……」
「私が魔女だからよ」
 ティシラの話が次第に世迷い事に聞こえていたラストルは、とうとうついていけなくなった。噴き出す彼の態度に、ティシラは顔を赤らめた。
「本当よ。聞いて……」
「だから、その証拠を出せと言っているだろう」
「証拠って、言われても、今は事情があって……」
「お前は本当に意味が分からないな」
 ティシラの存在が大きいのか小さいのか、言っていることが本気なのか冗談なのか、ラストルには理解できない。
「もう話は終わりだ」ラストルは顎を上げて。「今の話は頭の隅に置いておいてやる。だが何の証明もできないのなら、これ以上お前の話を聞く気はない。二度と私に近寄るな」
「ちょっと待ってよ」
 ティシラにも自分の話が彼にとって理解不能であることは、分からないでもなかった。このままでは、本当にバカな女と位置付けられて終わってしまう。それに、今を逃したら手遅れになる。踵を返すラストルを、ティシラは慌てて引き留めた。
「ちゃんと説明するから、もうちょっと……」
 咄嗟に手を掴んできたティシラに、ラストルは身震いを起こす。
「……触るな!」
 振り払われた衝撃で、ティシラはよろめく。持っていたグラスが傾き赤ワインがラストルの手元にかかってしまった。ラストルは目を見開き、ものすごい形相で赤く濡れた手を見つめた。
「な、何よ、あんたが暴れるから……」
 周囲の人々が、様子のおかしい二人に再び視線を集めた。ティシラはここはなんとか誤魔化さなければと考える。そんな彼女の傍で、ラストルはうめき声を漏らした。
「……どうしたの?」
 ラストルはワインのかかった手を凝視し、青ざめて震えていた。呼吸が上がり、倒れ込むように背を丸めていく。
「ちょっと、ねえ……」
 ティシラは状況が分からず、周囲の目を気にしながらラストルの肩に手を回した。
「私の手が……」
 ラストルが何やら呟いている。
「私の手が、汚れている……」
 ティシラは耳を傾けてみるが、まったく意味が分からない。
 ドゥーリオを呼ぼうかとティシラは顔を上げたが、彼の姿が見つからない。そうしているあいだに、ラストルは地面に膝をついて噴水に手を突っ込んだ。
「汚れを、落とさなければ……私の手が、汚れている……」
「な、何してるのよ」
 ラストルが正気を失っていることに、ティシラはやっと気づいた。
 会場は何事かとざわつき始め、カーグとノイエも窓から二人を伺っていた。
 ドゥーリオも室内の人ごみから顔を見せた。だが彼を待っている時間はない。
 ティシラは残っていたワインを自分の袖にかけ、大きな声を上げた。
「大変! ドレスが汚れてしまいましたわ!」
 言いながら、ラストルの手を掴んで自分も腕を噴水に突っ込んだ。
 水の中でラストルの手の甲を強く抓りあげると、ラストルは激痛で顔を歪め、暴れるを止めた。
 人々が集まってくる前に、ドゥーリオが取り乱したように駆けつけてきた。
「どうなさいました!」
「ごめんなさい。私、酔ってしまったようで、ワインをドレスに零してしまいましたの」
 ティシラはワインの沁みのついた腕を、わざとみんなに見えるように上げた。
「目立たない程度に汚れを落としたいと思いまして、噴水の水で洗おうとしたら、ラストル様が心配してくださって……お恥ずかしい限りです」
 ドゥーリオは状況が飲み込めないまま、ラストルを抱えるようにして立たせていた。
「ラストル様ったらお優しいから、私のミスのためにお膝を汚してくださったのですよ。本当に申し訳ないですわ」
 ティシラは必死に言い訳を続け、まだ放心したままのラストルをここから連れ出すことを優先した。
「お騒がせしてしまってごめんなさい。ラストル様はもうお疲れですので、今日はおいとまをいただきます」
 部屋に戻るために会場に入ると、カーグとノイエが待っていた。
「どうなさいました。ご気分が優れないのでしたら医師を付けますが」
「いいえ」ドゥーリオは何度も頭を下げながら。「お気遣い感謝いたします。ですが疲労かと思いますので、結構でございます。もし必要なものがあればお願いに参りますので、どうか皆様は饗宴を続けてください」
 カーグは「そうですか」と言ってそれ以上は深追いしなかったが、虚ろな様子のラストルを探るように見つめていた。
「失礼いたします」
 ドゥーリオはそそくさと足を進め、ティシラも頭を下げて挨拶し、退室していった。

 一部始終を見ていたシオンは、庭で立ち竦んでいた。
 近づくことも許されなかったシオンには、二人が親しげに見えた。何やら深刻そうな会話を交わしているのが分かった。
 どうしても、この場限りのただのダンスの相手だとは思えなかった。
(あの人は、いったい誰なの……?)
 そして、二人が険悪になり零したワインがラストルにかかったこと、そのあと彼の様子がおかしくなり、少女が不自然な行動を起こしたことも、シオンには見えてしまっていた。
(……ラストル、私は、いつか本当のことを知ることができるの?)
 メガネの下でこみ上げる涙を、ぐっと飲み込んだ。
(いつか、あの少女の位置に、私が居られるときがくるの……?)



*****




 部屋に戻った途端、ラストルは脱力しその場に崩れ落ちた。
 ドゥーリオが声をかけても返事もせず、体は小刻みに震えている。目は開いていて意識はあるが、何度呼んでも反応がなかった。
 ドゥーリオは再度抱え上げ、ベッドに運んだ。ティシラも手伝い、マントを外し姿勢を整えると、ドゥーリオが呼吸や脈を調べていく。手の平に魔力をため、彼の状態を見ていった。
「どう?」
「体調に問題はないようです。おそらく、精神的なものかと」
「今は目を閉じてるわ。このまま眠ってくれるといいけど……」


 部屋の灯りを落とし、ティシラとドゥーリオはソファに向き合って腰を降ろした。
「一体なに?」ティシラは呆れたように、大きな息を吐く。「こんなこと、よくあるの?」
「こちらがお伺いしたいくらいです」ドゥーリオは狼狽し切っていた。「一体なにがあったのでしょうか」
「あれって、何かの発作じゃないの?」
「いいえ。こんなことは初めてです……万が一、ラストル様の身に何かあったら、私は……」
 ドゥーリオは頭を抱え、泣きそうな声を出した。
「落ち着いてよ。さっき庭で魔女のことで話をしたの」
「あんなところで?」
「それは問題じゃないの。ラストルはやっぱり最後まで話を聞こうとしなかったわ。引き留めようとしたとき、ワインが彼の手にかかってしまったの。そしたら急に青ざめて、狂ったように汚れた手を洗い始めたのよ」
 いい加減、ティシラでも気が滅入っていた。ドゥーリオは考え、今度は顔を手で覆い、頭を垂れた。
「普段から、少しのズレも、汚れも許せない潔癖症なところはありました。ですが、これほどのことは、一度も……」
 そういえば、とティシラは思う。初対面のときに触っただけで激怒していたし、やたら潔白にこだわっていたようだった。ダンスのときは何もなかった。あれは仕事の一つだと割り切っていたのだろう。つくづく、嫌な男だとティシラは思う。
「その潔癖症ってのは、なんか原因があるの?」
「分りません。私がラストル様の下に就いたときは既にその癖をお持ちでしたから。私はただ、ラストル様の仰るとおりにしてきただけです」
 ドゥーリオは下を向いて黙ってしまった。何か悩んでいるようだった。窓の外からはまだ音楽や人々の明るい声が聞こえてくる。
「ねえ、もしかして、ラストルも何か辛い過去があるんじゃないの」
 ティシラがぽつりと言うと、ドゥーリオは体を揺らした。
「憶測でいいから、話してよ」
 ドゥーリオはまだ口を開かなかった。
 外の音楽が陽気なものに変わった。皆酒が回り、気分が上がっているのだろう。
「……憶測なのですが」やっと、ドゥーリオが話し出した。「昔、ラストル様とルミオル様が崖から落ちて怪我をなされたことは、ご存じでしょうか」
「ええ。ラストルが、ルミオルに死んで欲しがってたことも聞いたわ」
 ドゥーリオはまた肩を揺らし、土気色の顔を上げる。
「死んで欲しがっていたなんて……ラストル様は、おそらく、複雑なお気持ちのまま……今もご自身の中で解決なされていないのでは、と、私は、思ったことがあるのです」
 彼の歯切れの悪い言い方にティシラは苛つくが、怒る気力はなかった。
「でも二人とももういい大人でしょう? 子供のときならショックを受けて伏せることもあるかもしれないけど。そもそもルミオルは別に怒ってなかったらしいじゃない。なのに、ラストルがずっと意地悪して、いつまでも心を閉ざすなんておかしいわ」
「ラストル様が意地悪を、というのは、従者を使ってルミオル様を傷つけて追い詰めていたことですよね」
「ええ、そうね。そうだって聞いたけど」
「ルミオル様を傷つけていたのは、大人たちです」
「それは直接的な話でしょ。命令を出していたのは……」
 ティシラははっと何かを感じ、言葉を失った。ドゥーリオは小さく頷き、続けた。
「……ラストル様も、大人たちに傷つけられ、追い詰められていた……かもしれないと、考えたことが、ありました」
「でも……」ティシラは納得がいかなかった。「もし誰かの陰謀なら、何のためにルミオルを傷つけるのよ。王位継承ならラストルに権利があるんだし、二人は仲がよかったんでしょ? ルミオルを迫害する理由はなんなの?」
「分かりません。真相を知る者はラストル様以外、もういないのですから」
 ドゥーリオは額の汗を拭い、震える手でテーブルから水の入ったコップを握った。
「もしも……ただでさえ恐ろしい事故に遭い、老婆の遺体を目の当たりにし、更に大事な弟君まで失うかもしれないという恐怖に苛まれている幼い少年に、大人が一国の王子としての責任を問い詰めたとしたら、どうなると思いますか?」
「王子としての責任?」
「自らの不用意で召使を死なせ、弟君の命まで奪ってしまうなど、王子としてあるまじき行為。幼くしてそのような不名誉を背負い、現国王陛下の後を継げるほどの男になれるのか、と……」
 ティシラの胸の奥が、内側から叩かれたように脈を打った。体中に響く痛みに、顔を歪める。
「召使は死に、もう語る口を持ちません。事故のことを知る者は、あとはルミオル様のみ……そのルミオル様は生死の境を彷徨っていらっしゃる」
 それ以上は言わなくても、ティシラには分かった。
 ルミオルが死ねば、ラストルの汚点は闇に葬られる――。
「でも、事故に遭ったのはみんな知ってることでしょう」ティシラの額にも汗が流れる。「もしルミオルが死んでいたとしても、事故が隠せるわけじゃないわよね」
「ええ。そう思います」
「それじゃあ、ラストルが隠したいことは、他にあるってことかしら」
 ドゥーリオはそれも考えたことがあった。しかしこれ以上は憶測も限界に達し、答えは出なかった。
 誰も国家転覆など考えているとは思えない。トールとその家族の傍にいる者は皆、国と王を敬愛している者ばかり。多少の相性の良し悪しや派閥はあれど、次の世代を担う兄弟を引き裂いて得する者など、思いつかなかった。
 二人が黙ると、外の音楽がよく聞こえてくる。無意識に音の調べをなぞっていると、緩やかな曲に変わっていった。そろそろお開きなのだろうと思う。気付けば二人は何も考えておらず、心地よい眠気に誘われていた。疲れていたのだ。
 しんとなった室内でラストルのうめき声が漏れ、二人は反射的に腰を上げた。ベッドを覗くとラストルが苦しそうに体を丸めていた。
「本当に大丈夫なの? 何か薬をもらったほうがいいんじゃない」
「いえ、家来の中に専門医がおります。日々その者に体調管理をさせておりますので、余所で薬をもらうわけにはいかないのです」
「だったらその医者を呼んできないさいよ」
「そうですね……」
 できれば穏便に済ませたかった。しかしこれ以上悪化してしまうと大事だ。ドゥーリオはふらつく足取りで戸に向かう。
 そのとき、ラストルの枕元にいたティシラが短い声を上げた。
 ドゥーリオが振り返ると、ラストルがティシラの手を掴んでいた。ティシラも目を丸くして驚いていたが、うなされていたラストルの呼吸が落ち着き始めていた。
 ティシラはドゥーリオに目配せしたあと、ラストルに顔を寄せて耳を澄ました。
 吐く息に紛れて、ラストルが漏らした短い本音を、ティシラは確かに聞き取った。
 彼のトラウマを探るつもりはなかったが、彼の頑なな性格が関係しているなら、ティシラにとって有意義な情報だった。
 ドゥーリオはティシラの「医者は必要ない」というメッセージを受け取り、再びベッドに戻ってくる。ラストルの顔色は悪いままだったが、呼吸は正常に戻っており、深い眠りについている様子だった――ティシラの手を、強く握ったまま。
 ティシラは手を解かず、そっと彼の隣に横になった。
 ラストルをよく知るドゥーリオは戸惑い、焦り、また全身から汗を流した。しかし素知らぬ顔で目を閉じるティシラを無理やり引きずり降ろすことはできなかった。
 それに、若い二人が添い寝しているのをいつまでも見ている自分に、場違い感と罪悪感がこみ上げてくる。ここは引きさがり、仕切り用の薄いカーテンを閉じて背を向けた。しばらく部屋をうろつきながら悩んでいたが、子供のように熟睡してしまっている二人の顔を見て、懸けるような勇気を出し、退室していった。





   

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