5



 儀式の地と呼ばれる空間は気味の悪い空気に包まれていた。まるでそこだけが異空間のようだった。昔は大きな城があったと言われる。
 陥落した城の瓦礫で囲まれている。カラ、と小さな石が転げる音がした。
 セラは聞こえた方を振り向いた。いつの間に、と思う。瓦礫の上に全身を黒いマントで覆った女性が立っていた。深く被ったフードで顔も見えない。辛うじて、血のように真っ赤な口紅を引いた口元だけが見え隠れする。マザーの幹部、魔女ジェスティだ。セラは近づかずに、彼女に向き合う。
「ジェスティ様。何かご用で?」
 セラはまだ呼び出された理由が分からなかった。ジェスティは微笑む。
「ここは儀式の地」細く、透明な声だった。「今から、お前の働きに対する褒美を与える」
 セラは眉を寄せた。
「でも、あたしはまだ生贄を用意していません。これからです。もう少しお待ちいただけないでしょうか」
「その必要はない」ジェスティは片手をゆっくり持ち上げた。「答えは、もう出ているのだから」
 セラの足元に、チカチカと小さな光が点滅した。それを目で追ううちに、今度は細い光の糸が伸び、幾重にも交差して大きな星を象る。セラの体が固まる。光の糸に掴まり、身動きが取れなくなる。
「な、なにを……!」
 ジェスティは手を降ろし、微笑んだまま、真実を告げた。
「蘇生は禁術。如何なる場合も命を弄ぶことは神への冒涜だ」
「……な」
「お前がマザーに必要、有益な人材かどうか試させてもらった。その答えは――否と出た」
 セラは目を見開いた。息が荒くなる。
「死んだ者に執着し、且つ己の欲望の為だけに他人を犠牲にする。そのような危険な者、マザーの名に相応しくない。そして、この世に命を受ける価値もない」
 セラの足元がふらつく。血の気が引き、目の前に突きつけられた事実を必死で掻き消す。
「い、嫌よ……」動くと、糸で体が切れる。「あたしは、生きたい。どんな目に合っても生き残ってきた。仕事だって一生懸命やってきたじゃない。卑怯よ。あたしの弱みを知ってて、甘い言葉で誘ったのはあんたじゃない。ずっと後悔してた、ずっとやり直したいって思ってたけど、それは無理なんだってやっと受け入れようとしていたときだったの。やっと自分の居場所を、生き方を見つけられるかもしれないって思ってたときだったのよ。それをぶち壊したのはあんたじゃないの。なのに、生かしておいて今度は生きる価値がないですって? 何の権利があって、あたしの命を左右するのよ。あんたはそんなに偉いの? マザーは……一体何様のつもりなのよ!」
 ジェスティは顔色一つ変えずにセラを見据えていた。不気味だった。まるで呼吸もしていないかのようだった。いや、生きているのかどうかも怪しく思える。その異常な空気に、セラは逃げられないことを感じた。ここはもう「地獄」なのかもしれない。そう思った。
 認めたくない。だけど、抵抗することもできずに体の力が抜けていく。目から光が失われ、虚ろになっていく。遠のく意識を必死で引き止める。諦めたら終わりだと分かっていた。今、考えることを止めたら、すべてが終わる。嫌だ。セラは涙を流した。
「マザーとは」ジェスティが囁く。「すべての命の発祥の地……」
 セラは、何もかもを後悔した。
 また同じことを繰り返してしまった自分を責めた。だけど、と思う、自分は精一杯やったのだ。間違っていたとしても、いつか報われると信じて、一生懸命生きた。辛いことの方が多かった。それでも生きたかった。いつどこに救いがあるのかは分からなかったし、自分もたくさんの人を傷つけてきた。そうしなければ生きていけなかったのだ。
 誰だってそうしているじゃないか。なぜ自分だけが責められる? 
 嫌。イヤ。誰か……助けて。

 そのとき、銃声が轟いた。
 糸が解け、セラは大きく息を吸いながら崩れ落ちた。
 二発目の銃声が響く。弾はジェスティに向かってくる。当たる寸前で、彼女は姿を消した。
 離れたところで銃を構えたランが舌打ちをする。ディタがセラに駆け寄る。
「セラ!」
 生きている、が、その顔は青白く、目が濁ったように真っ白になっていた。ディタはその恐ろしい形相に悲鳴を上げそうになるが、慌てて口を押さえる。セラがかわいそうで、ディタは泣きながら彼女を抱き上げた。
「セラ……どうしてあんたがこんな目に合わなきゃいけないの……」
 ジェスティのことはランに任せて、ブラッドもディタの後を追う。
 姿を消したジェスティは、一瞬にして向かいの瓦礫に移動していた。ランはすぐに狙いをつけて引き金を引く。今度は消えない。だが、彼女の顔の前で、銃弾は閃光を放って弾け消えてしまった。
「……化け物め」
 ジェスティに銃は効かないらしい。構えを解くランに、ジェスティは微笑んだ。
「またお前か、ランウォルフェン。お前は本当に目障りな男だな」
「お互い様だろ。部下を殺すのは勝手だが、どうして普通に殺してやらないんだ」
「お前には関係ない。なぜ出しゃばる? 小娘一人死んだところで、お前には何の支障もないだろうに」
「理由なんかない。ただ気に入らないだけだ。情ってやつだよ」
「情だと?」ジェスティは肩を竦めた。「実の弟を殺したお前が?」
 傍観していたブラッドは耳を疑った。顔を上げる。ランの表情は変わっていなかった。
「情だよ」ランは迷わず。「お前は俺の感情なんて興味ないだろ。とにかく、このバカげた儀式とやらを今すぐ止めろ」
「もう遅い」
「殺したいなら一思いに殺してやれ。なぜわざわざ昔の傷を抉る必要がある」
「マザーの思想は、お前の届かないところにある」
「人の生き死にに思想なんかあるか」
 ジェスティの衣服が、風もないのに揺れた。
「セラ!」
 ディタの悲鳴にランは我に返る。口論している場合じゃない。目を移すと、セラの足元から黒い手が何本も伸び、地に引きずり込むように絡み付いている。もうセラは救えない。ランは冷静に判断し、大声を出す。
「ブラッド、ディタ、セラから離れろ!」
「イヤ!」
 ディタが泣きながらセラにしがみ付く。
「ブラッド、ディタを引き離せ」
 言われるまでもなく、ブラッドはディタを羽交い絞めにし、引きずる。
「離して。イヤ。セラを一人ぼっちになんかさせない。あたしも一緒にいく」
 気持ちは分かるが、ブラッドはその要望を認めるわけにはいかない。セラの体が地面に吸い込まれていく。セラは黒い腕に包まれ、抵抗もせずに地獄に堕ちていく。
「セラ……」
 最後まで見届けることができずに、ディタは地面に伏せた。ブラッドはディタから手を離し、セラの最期を見つめた。絡み合う黒い腕の隙間からセラの虚ろな目が覗いた。ブラッドはその悲しい表情に捕らわれる。
 ランが何かに気づく。これで終わりだと思っていたが、そうはいかないようだ。いつの間にかジェスティの姿は、気配ごと消えていた。

「ブラッド!」
 駆け出そうとしたランの背後から、聞き慣れた声が飛び込んできた。振り向くと、エスが息を切らして走ってきている。どうして、と思う間もなく、更にシェルの姿も見えた。その後ろにはサングとゴード、シガーが歩いてくる。あいつら、喋ったなと思うが、今はそれどころではない。エスがランの横をすり抜け、真っ直ぐブラッドに向かっていく。ランは素早くエスの腕を掴む。
「ブラッド、セラ!」エスは奇妙な光景に目を疑う。「何? 一体どうなってるの」
 そうしているうちに、ブラッドまでもが黒い腕に巻き込まれている。セラと共に渦の中に溶け込んでいく。
「ブラッド!」
 エスは喉が破れそうなほどの声を張り上げた。


 セラは暗闇の中に落ちていっていた。その速度が遅いのか早いのかも分からない。怖い。どこまで落ちるんだろう。ずっとこのまま落ち続けるんじゃないかと思うと、気が狂いそうになる。
 助けて、誰か助けて。
 心で唱えたのか、声に出したのかも判断できない。
 セラは必死で叫んだ。
 伸ばした手を、誰かが掴んだ。目を開くと、自分より大きな手が体を引き寄せる。セラは迷わずにそれを強く抱きしめた。温かい。ずっと、ずっとこうしたかった。決して適わないと思っていたことが腕の中にあった。涙が溢れだす。
「……ラスター」
 暗闇の中で二人は抱き合った。落下は止まらないが、恐怖が掻き消えていく。
「ラスター、会いたかった。会って、謝りたかったの」
「セラ……」
 ラスターは、ブラッドと同じ姿をしていた。だが、声が違う。セラには懐かしい、そして愛しい声だった。
「君を一人にしてしまって、ごめんね」
「ううん、あたしが悪かったの。ずっと後悔してた。なんで優しくできなかったのか。素直になってさえいれば、あたしはきっと立ち直れた。幸せになれたのよ」
「僕もずっと後悔してたんだ。君のことが心配で仕方がなかった」
「こんなにも強く、お互いに思っていたのに、なんでこんなに時間がかかってしまったの」
「そうだね……だけど、これからはずっと一緒だよ」
「本当?」
「ああ。もう君を一人にはしない」
「……嬉しい」
 セラに笑顔が戻った。やっと今までのことを後悔せずに済んだのだと、心が満たされた。ラスターさえいてくれれば、永遠の暗闇も怖くない。寂しくない。もう絶対に離れたくない、離さない。セラは腕に力を込めた。
 そのとき、セラの頬に一粒の雫が落ちた。
(……雨?)
 薄く目を開けると、上空からいくつもの雫が揺れながら降ってきていた。なぜだろう、とても、とても悲しい色を灯していた。
 遠くから声が聞こえ、セラは大きく目を見開いた。その声が、知った者のそれだと気づく。
 エスの声だった。そして、これは彼女の涙。
 まさか、とラスターの顔を確かめる。セラの体が震え出した。
「……ブラッド」
 でも、目の色が違う。姿かたちはブラッドだったが、薄い茶色の目、その優しい声は間違いなくラスターのものだった。
(そんな……)
 セラは否定するように再びブラッドを抱きしめた。
(嫌よ。やっと会えたのに……離したくないよ)
 涙の雫は数が増す。エスが泣いている。胸が痛んだ。大切な人を失ったときの悲しみは、よく知っている。今、あのときの痛みや苦しみと同じものをエスが味わっているのだ。
 だけど、でも、とセラは強く目を閉じた。
(ごめん、エス。あんたの気持ちは痛いほど分かるけど……あたしだって、ずっと欲しかったんだもの)
 セラを責めるように涙の粒が、途切れることなく降り続く。
(ねえ、もう許して。あんたは生きてるじゃない。いっぱい友達もいるし、またすぐに新しい男だって見つかるわよ。でも、あたしは違うの……あたしにはラスターしかいないのよ……!)
「……セラ」ラスターが囁く。「君は一生懸命生きたんだね」
 ラスターの言葉は、自分を蔑み続けてきたセラの胸にちくりと刺さった。
「ほら、見てごらん」
 ラスターはセラから少し体を離して、上空を見上げた。セラもそれを見つめる。
 一つの雫に映像が映った。そこには、ディタとエス、ラン、シェル、サング、ゴーグにシガーがそれぞれに悲しい表情で佇んでいた。
「君を思って、君を助けるために、あんなにたくさんの人が動いてくれたんだよ。そして、いなくなった君を悼んで悲しんでいる」
 セラはその映像を見つめ、いろんなことを思い出した。不思議だった。今までは、生きてるうちは嫌なこと、辛いことから抜け出せずに、なぜ自分だけがと不幸を気取っていた。だが、今は違う。楽しかったこと、嬉しかったことばかりが脳裏を駆け巡っていく。それどころか、嫌なことすら掛け替えのない思い出として鮮明に蘇る。何もかもが尊かった。セラは初めて、自分のことを愛しく思えた。
「君が、生きた証だよ」
 セラの目から涙が零れた。それは宙に浮き、降り注ぐ雫と溶け合っていく。
「君という存在は彼らが受け止め、ずっと心に留めてくれる。それが命の流れなんだよ。そして、僕という命は、今まで君が大事に抱きしめていてくれた。本当はずっと傍にいたんだよ。だた、見えなかっただけ」
 確かに、今思えばラスターはセラの中にずっといた。なのに、どうしてそれを認められなかったんだろう。聞こえない、触れない、そのもどかしさだけを恨んでいた。ただ、それだけだった。
(……ほんとは、分かっていたんだ)
 セラはラスターの手を握った。
(もうラスターは、ずっと前に死んだ。もうどこにもいないって)
 映像の中で泣き続けるエスの顔は、何かを悔やんでいるように見えた。きっと、自分もこんな顔をして泣いていたんだと思う。
(……エス、いつまでも過去に拘るあんたが腹立たしかったんじゃないの。悲しみを超えて、強く前に進もうと努力してるあんたに嫉妬していただけなのよ)
 羨ましかった。そんなことのために、酷いことをしてしまった。やっぱり、と思う。後悔しかできない。謝りたくても、もう遅い。もう届かない
 だけど、まだできることがある。
 これ以上過去に縛られていては、きっとまた後悔する。今度はやり直せないのだ。もう、何かのせいにするのはやめよう。
 セラはそう思って、決意する。
「セラ?」
 ラスターは、手を解く彼女を見つめた。
「ラスター、最期に会えて、よかった」
 セラは優しく微笑んでいた。
「……行って。あんたの居場所は、ここじゃない」
 ラスターの体がゆっくりと浮き、次第に二人の間の距離が広がっていく。
「ね、ブラッド?」
 その言葉の意味を理解し、ラスターも微笑んだ。
「お人好しも程々にしなさいよ。あんたにそんな甲斐性ないんだから、あんたはエスのことだけ考えてればいいのよ」
 ラスターの、ブラッドの瞼が下がる。釣られるように、浮上していく。セラはそれを見送って。
「さよなら」
 すべてを受け入れる。再び闇に閉ざされ、だが安らかに、セラは永遠の眠りについた。


 地上では、ブラッドとセラが吸い込まれていった地面を中心に、一同が暗い顔を並べていた。ディタは膝を抱えてつっぷし、いつまでも泣き止みそうにないエスの隣で、シェルも声を殺して顔を両手で覆っていた。
 空が白み始めていた。急ぐことはなかったし、その必要もなかった。ただ起こった現実を受け入れるのを待った。
 それでも、諦め切れずにいた一同は、同時に顔を上げた。
 地面から光が溢れ出した。誰もが何かを期待した。その光が邪悪なものでなかったからだ。
 光は強まり、次第に塊になる。それは人の形を象っていく。
 エスに、さっきまでとは違う涙が込み上げた。説明できない強い感情に全身を包まれ、何度も大きく息を吸った。
 光が掻き消えると、そこには目を閉じて横たわったブラッドが現れた。エスはすぐには動けなかった。空と共に、一同の顔が晴れていく。見守られながら、ブラッドは目を開ける。何回か瞬きして、辺りを見回した。
「……エス」
 その声を聞いて、エスの目からボロボロと涙が溢れ出した。シェルが微笑んで、エスの肩を抱く。
 ランが安心したように、深いため息をついた。そこで、シガーが感動的な場面をぶち壊すような大声を上げる。
「小僧! 生き返ったか」
 ブラッドは空気も読めずに、体を起こして首を傾げた。獣人たちはよかった、よかったと騒ぎ始めた。その中で、ディタが這いながらブラッドに寄った。
「……ねえ、セラは?」
 ブラッドは、未だに何が起きたのか、起きているのか理解できない。ディタの質問に、素直に答えた。
「……さあ」
 ディタは俯く。悲しい、が、どこかで「やっぱり」という言葉が過ぎっていた。セラは「処分」されたのだ。ブラッドは巻き込まれただけ。セラのしたことが殺されるほどのことかどうかは判断できない。だけど、これは掟なのだ。マザーという組織で生きている以上、その掟には従うしかない。それができなければ、行き着くところは「死」のみしかない。辛いが、もうセラはいない。それだけが事実だった。
「ブラッド」
 呆然としているブラッドにランが声をかける。顔を上げると、ランが顎を軽く上げ、何かを示す。その先には、シェルの腕の中で泣いているエスがいた。だが、なんで泣いているのか分からない。
(……また俺のせいなのかな)
 困りながらも、とりあえず体を寄せてみる。
「エ、エス……」
 伸ばした手がエスの肩に触れようとした、その瞬間、エスは体を捩ってブラッドに強烈なビンタを食らわす。一同が目を丸くした。ブラッドの目の前で星が瞬いた。
「何なのよ!」エスは必死で声を絞り出す。「いい加減にして。あんたって、なんであたし以外の女にヒョイヒョイついていったりするのよ。バカじゃないの。もうイヤ!」
「……ご、ごめん」
 ブラッドはとりあえず謝ってみる。その程度でエスが許してくれるわけもないのだが。
「もう、ほんとに、あんたなんか知らない。死ぬなら死ぬで潔く死になさいよ。なんで戻ってくるのよ。もう、あんたなんか……あんたなんかね」
 エスは自分でも何が言いたいのか分からなくなってくる。思いっきり罵ってやりたいが、言葉が出てこない。ブラッドは慣れたような顔でエスの罵倒を待ったが、どうやらこれ以上は無理のようだ。エスは平然としているブラッドが余計に憎たらしくなり、涙目で睨みつける。
 唸り声さえ漏らすエスとは対照的に、ブラッドの頬が緩んだ。面白いものを見る目だった。エスはもう我慢ならなかった。言葉の代わりに、手を出す。だが、ブラッドはその反応が分かっていたかのように、飛んでくるエスの平手を掴む。
「!」
 ブラッドは笑顔のまま、エスを引き寄せて抱きしめた。エスは悲鳴を上げながら真っ赤になる。
「な、なによ……!」
 ブラッドは暴れるエスを両腕で締め付ける。
「エス、お前、可愛いな」
「はあ?」
「やっと分かった。お前が怒れば怒るほど、俺のことが好きなんだってことなんだな」
「バ、バカじゃないの。離してよ、あんたなんか大っ嫌いよ」
 ブラッドの浮かれぶりは、人が一人死んだことを忘れさせるほどだ。一同は驚くべきか呆れるべきか、それとも両方なのか、まだ迷っていた。
「でも、俺はお前が好きだ」
 エスは暴れるのをやめる。いつも言われていたはずの言葉が、なんだか今、初めて確認できたような気がした。
「……本当?」
 エスは小さな声で呟く。
「当たり前だろ」
「でも……」エスの口元が緩んだ。「あたしは、あんたなんか嫌い」
 どうしても素直になれなかった。好きだなんて言ったら、この男はどこまで調子に乗るか分からない。
 エスはゆっくり、ブラッドの背中に腕を回した。<了>


050505 / hinoto

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